洗髪・頭皮と毛髪ケアの歴史 【後編】



洗髪頻度が高くなるとともに、髪の傷み意識が高まる


1970年代、洗髪頻度が週2~3回になり始めた頃から、髪がパサつく・感触が悪いという意識が高くなります。


洗髪と整髪の頻度が増え、ブラシブローも普及し、濡れているときに髪がこすれたり引っ張られたりして傷む機会が増えたからです。


この頃から、シャンプー製品には、フケ・かゆみ防止だけでなく、髪をケアし感触を整える機能が加わります。


クリームシャンプー、オイルシャンプーなどが発売され、リンス・コンディショナー・トリートメントが生まれました。


この後、シャンプーにもコンディショニング技術が導入され、シャンプーブランドのコンセプトは、毛髪への効果が主流になります。


キューティクルケアという考え方もこの時代に生まれました。


【洗髪頻度とブラッシング】


洗髪頻度が週2~3回になる1970年代、「ブラッシングを1日に100回くらいするのが髪に良い!」といわれていました。
洗髪頻度が高くても、ブラシを通す回数が多くても、キューティクルが傷むリスクは高まります。


とかす頭皮ケアと、洗う頭皮ケアの歴史の狭間で、残り広まったお手入れ神話だったという噂も...


肌にやさしいシャンプー


毛髪のケアが注目されるようになる中、1980年代、肌によりやさしいものを目指して、洗浄成分の開発が行われ、石鹸やラウリル硫酸ナトリウム(AS)に代わって、1980年代後半には、現在広く使われているポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(ラウレス硫酸ナトリウム、ES)が、より低刺激で、なめらかな泡立ち、水溶性や他の成分との相溶性の良い洗浄成分として使われ始めます。


1990年代、洗浄成分の低刺激性や植物性・天然をコンセプトとしたブランドがいくつか生まれました。


2001年、家庭向けに弱酸性シャンプーが上市されました。


サロン向けには以前からあったものの、ぬるつかない、すすぎやすいなど、扱いやすい液性や泡質、仕上がり感にするのが課題でした。この後、多くのブランドから弱酸性の製品が発売されています。


※ASもESも油脂成分は当初から植物由来です。


頭皮ケアへの関心の高まり


1990年代後半、欧米からサロンのヘッドスパ、ヘアエステサービスが導入され、頭皮ケアに興味が向くきっかけになったと考えられます。


頭皮をオイルなどを用いてていねいに洗浄し、マッサージするというもので、施術の気持ち良さが噂となりました。


洗髪頻度の低い時代は、頭皮と髪を区別せずに一緒に洗う意識でしたが、頭皮と髪をそれぞれ洗いケアする意識を高めるきっかけになったと考えられます。


洗浄ブラシやマッサージャーなどが開発されるきっかけにもなりました。


2000年代後半には、雑誌などのヘアケア記事には必ず頭皮ケアの要素が入り、お手入れ方法に関心が集まるようになりました。


またこの頃から、頭皮の実態、洗髪行動実態が調査研究され、頭皮で起こっていることがより具体的に解明されていきます。


毛髪のダメージリスクの拡大とケア製品・技術の進展


1980年代は、超ロング、ソバージュが流行し、傷み対策・枝毛防止成分として仕上がりのなめらかさに優れた高重合度シリコーンが用いられ、コンディショニング成分として使われるきっかけになっています。


1990年代末にはヘアカラーが普及し、2000年代にはアイロン・コテが多く使われるようになり、縮毛矯正やデジタルパーマなどのホットパーマが行われるようになるなど、髪にとってはかなり過酷な状況になりました。


このような状況で、毛髪のダメージケア技術が進展します。


カラーリングの普及に伴い、感触だけでなく髪の見え方や髪の内部構造に関しての研究も深まりました


そして「髪の内部に浸透して補修する」というコンセプトが注目され、「洗い流す」トリートメントの使用率が増加、加えて、「洗い流さない」トリートメントが家庭で使われるようになりました。


その後、洗い流さないトリートメントであるオイルが急成長します。


頭皮ケアはまだ知識が行き渡っていない


洗髪の目的は、ながらく頭髪(頭全体)を清浄にして「フケ・かゆみ」を防ぐことでした。


現在は、「頭皮ケア」+「毛髪ケア」と考えるとお手入れ方法や製品選びが理解しやすいでしょう。


頭皮ケアというと、他の皮膚との違いは髪の毛が多く生えていることなのですが、具体的にトラブル(フケ・かゆみ、ニオイ、べたつき)の原因は何なのか、意外に知られていません。


また、頭皮ケアと髪の成長が直結していると考えられることが多いようです。


頭皮の顔などの皮膚との大きな違いは、皮脂や汗の分泌量が多く、髪の毛があって洗いにくいということです。


しかも毛髪はなるべく傷めないようにしたいのです。


皮脂などの油性成分を頭皮から洗い流しやすい機能、毛髪を傷めにくい感触、が他の部位の洗浄成分やケア剤との違いとして求められ、開発も進んできました。


高頻度の洗髪習慣が定着した一方で、頭皮ケアに関する知識が行き渡らないために、適切な方法や製品選びに迷うことがまだまだあるようです。


【日本のヘアケア製品・機能のヒストリー】


1960年...液体シャンプー発売


1961年...家庭用リンス(薄めて仕上げにかけるタイプ)


1975年...家庭用リンス(髪に直接塗布してすすぐタイプ)


1976年...キューティクルケアコンセプト


1986年...朝シャンブーム始まり


1987年...超ロングスタイル、ウェービーが流行し、枝毛ケア成分として、高重合度シリコーンが使われるようになる


1989年...リンスインシャンプー


1992年...夜シャンプーが定着


1993年...植物、ナチュラル嗜好の始まり


2001年...家庭用シャンプーの弱酸性化始まる


2002年...ヘアカラーダメージ対策として浸透補修コンセプト
(洗い流さないトリートメントの使用増加)


2003年...美髪コンセプト


2004年...頭皮ケアへの関心高まる


2007年...髪のエイジング研究・コンセプト


2010年...頭皮ケアに再び関心が高まる
(ノンシリコーンシャンプー人気、オイル人気)


2017年...ボタニカル人気


 

現在では洗髪や頭皮ケアの知識が大分浸透してきましたね。